楽しみ方は一つじゃない。「Delicious Cinema – おいしい映画」連載スタート!

四月ももう終盤。本来なら来週から始まる大型連休の予定に胸踊る時期ではありますが、、皆様いかがお過ごしでしょうか?

今回はMERICAN BARBERSHOP所属、DJ、デザイン・ディレクションと幅広く活動するコニロー氏仕掛ける、”ご自宅での過ごし方が豊かになる”新企画「Delicious Cinema-おいしい映画-」をお届けします。

「おいしい映画?」ってなりますよね。分かります。
毎回登場するゲストがオススメする、内容はもちろん登場する食べ物が美味しそうな映画をご紹介。

外出自粛、営業自粛が相次ぎ、生活も一変。ご自宅で食事し過ごす機会が増えた事でしょう。

あの映画に出てくる憧れのあのフード、気になるあのフード。全く同じ物はないだろうけど。こういう機会だからこそ、近くのお店で似た食べ物をテイクアウトしたり、作ってみたり。観るだけじゃなくて、食べる、楽しむ、豊かさ。
飲食店と組んで映画に出てくるオリジナルメニューの販売も?(乞うご期待)興味のある飲食関係の方は是非お問い合わせ下さい。

こんなご時世だけど楽しむ事は忘れたくない。観て作って体験する新しい楽しみ方。皆様もいかがでしょうか?

「Delicious Cinema -001-」Guest selector Kenpi han

ケンピ
https://www.instagram.com/kenpi_han/
今回あえて料理系の映画を外してみました。普段何気なく見てる映画の中での偶然の出会いこそ貴重であり、料理がメインではない映画の中での食事こそリアルなのかなー、と。
例えるとすれば、出会った人がバッチリ着飾ってるわけではなくとも、ジーパンにTシャツでも十分魅力的に見えることってありますよね?
あと単純にジーパンとTシャツ着てる人が好きです。

Pulp Fiction 1994 – “ビッグ・カフナ・バーガー”

パルプ・フィクション

いまだに根強い人気がある、クエンティン・タランティーノが94年に世に放ったクライムサスペンスムービー、パルプ・フィクション。90年代カルチャーの代名詞と言えるユマ・サーマンがベッドでタバコを吸っているポスターを部屋に飾っていた人も少なくないのでは。様々な登場人物が登場し、それぞれのキャラクターの視点で同時進行的に描かれるストーリーが見事に交錯する群青劇で、たわいもない会話ですらスタイリッシュに見える。

今回紹介したいのは、苫田ではマザファッキングおじさんとも呼ばれているサミュエル・L・ジャクソン扮する殺し屋のジェームスが美味しそうに食べている”ビッグ・カフナ・バーガー”だ。映画の世界にしか存在しない架空のハワイアンバーガーのチェーン店の一品。稀代のシネフィルでギーグでナードな映画オタクの彼は劇中の食事にもこだわっている。このバーガーは彼の初期作品のレザホア・ドッグスや、盟友ロバート・ロドリゲスのフロム・ダスク・ティル・ドーンにも映画の枠を超え登場している。

架空のバーガーチェーン”ビッグカフナバーガー”の紙袋

他人が食べているバーガーを無理やり奪い、ムシャムシャ食べて、挙げ句の果てにはスプライトまで奪って豪快に一気に胃袋に流し込むシーンはこの映画の名シーンの一つである。

おしゃべりジュールスはバーガーを粗暴に一気喰い

ちなみに余談ではあるが、ジュールスと相方のヴィンセント(ジョン・トラボルタのハマり役)はバーガーに造詣が深く、フランスのマクドナルドに関する雑談も逸材。

ヴィンセント「あいつらはメートル法だ。クォーターパウンダーなんてわからないのさ」

ジュールス「じゃあ、なんていうんだ」

ヴィンセント「チーズ・ロワイアルさ」

ジュールス「チーズ・ロワイヤル?ビッグ・マックは何ていうんだ?」

ヴィンセント「ル・ビッグ・マックさ」

ハート・ブルー 1991 – “ミートボールサンド”

キャスリン・ビグロー監督、故パトリック・スウェイジとキアヌ・リーブスのダブル主演クライムアクションムービー。邦題はなんかふわっとした意味不明なタイトルが付けられているが、原題は”Point Breik”、サーフィン用語で波が崩れる場所を意味する。(邦題と原題の違いもまた映画の醍醐味の一つ)連続強盗事件を追い、潜入捜査でサーファーになりすますFBI捜査官ジョニー(キアヌ・リーブスが若い)と、犯人グループのリーダー・ボディ(パトリック・スウェイジも若い)の友情と対立、ありがちなストーリーではあるが、アクションシーンが特出していて。逃げる犯人を走って追いかけるシーンがとにかくリアル。住宅街を延々と手持ちカメラで追いかけ、細い路地や家の中、塀を登ったり、とにかく走る。臨場感は必見である。

ハードブルーでは美味しそうなジャンクフードが登場する。日本ではあまり馴染みがない”ミートボールサンド”である。トマトソースに絡めたミートボールが入っていて、アメリカでは”サブマリンサンド”と呼ばれ、定番らしい。張り込み中、ゲイリー・ビジー扮する先輩警官のパパスが張り込んですぐ(午前10:30)ランチにミートボールサンドを食べようと後輩のジョニーに買いに行かせる。パパス曰く「あの店のはどこよりも美味しい」と称されたミートボールサンド、余程好きなのか2コもリクエストする始末。

一度2コと言っておきながら、買いに出かけたジョニーを引き止めてダメ押しの「俺は2コ!」

ミートボールサンドが届くや否や、「やっぱ3コにしとけばよかった」と嘆きながらも勢いよく食らいつき、その最中に犯人グループがまんまと銀行を襲い張り込み失敗&すぐに追跡、食べかけのミートボールサンドはその後スクリーンに登場することはなかった。(このシーンは本当に突っ込みどころ満載)

そう、映画の中では一口しか食べられてないのであるが、強烈な印象を残し、ミートボールサンド欲が非常に高まること必至である。パパスは捜査官としてはそこそこ優秀なんだろうけど、食べ物に目が無い。ステレオタイプなアメリカ人として描かれ、その部類のキャラでいうとドラマ”フレンズ”のイケメンおバカキャラで大食漢のジョーイが世界で一番愛している食べ物がミートボールサンドだ。典型的なアメリカ人が大好きな食べ物の象徴なのかもしれない。食べたことがない食べ物を「世界一うまい」と言われたらどんな味だろう?と疑問を持つのが当然だが、ミートボールサンドイッチは必ずうまい!と想像できる。

張込みそっちのけで「これこれ!」的な頬張り

余談だが、ハートブルーにはレッドホットチリペッパーずのヴォーカルのアンソニー・キーディスが脇役で出演している。同じ年に製作された”マイ・プライベート・アイダホ”には同バンドのベーシスト(で養蜂家)のフリーが脇役で出演し、奇しくもキアヌ・リーブスは俳優が本業ではないレッチリの2人と別々の映画で共演を果たしている。

妹の恋人 1993 – “アイロンで作るホットサンド”

友人から「とにかく面白い料理が出てくる映画がある!」と勧められて観たこの作品は衝撃的だった。心を病んだ妹を見守る兄と、2人の家に居候することになった風変わりな青年との交流を描いた本作は1993年公開で、風変わりな青年を若き日のジョニー・デップが演じ、笑えて観終わったら心が温まる隠れた名作。何が衝撃かというと、ご飯の料理法。他の映画では観たことないような、一言でいうと「とにかくぶっ飛んでいる」

映画の序盤にピーナッツバターミルクシェイクをつくるシーンで監督のセンスの高さが見て伺える。この絵力。「この子はだいぶ独創的なのだな」と序盤で観客に刷り込む効果があり、説明的にして映画の世界観を壊すことなくユニークに表現している。

シュノーケルをつけている理由は映画を観てのお楽しみ。

そしてその上を行くのが、”アイロンでつくるホットサンド”。常識を覆す突拍子の無さだし、実際やられたら口があんぐり開くと思うのだが、ジョニー・デップは真剣にアイロンで焼いているし、よくよく見たら美味しそう!

残念ながら出来上がったホットサンドを食べるシーンはなかったので、中に何が入っているのか、どんな味なのかは想像するしかない。(横にブルーベリーのようなものが見えるが、中に入っているのかな)

park